溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「……わかった、縁談の件は諦める」
「では、母との再婚を認めます。ただし、それはあくまで母のためで、あなたのためじゃありません。母を二度とあんな風に傷つけないでください」
「あぁ、約束する。説得力はないだろうが、私が本気で愛せたのはお前の母親だけなんだ」
まったく、どの口が言うんだ……と思う。
だけど、春日野社長が真剣な顔をしているのは火を見るよりも明らかで、母の幸せのためにも不満を飲み込んだ。
「では、俺はそろそろ失礼します。可愛い恋人が帰りを待ってるので」
「智明」
立ち上がった俺を呼び止めた社長が、ためらいがちに口を開く。
「その……今度、三人で食事をしないか? お前と母さんと、私で……」
「お断りします」
「……そうか」
「ですが、私の恋人が同席してもいいのであれば、構いませんよ。――父さん」
気落ちした顔に驚きが浮かび、瞠目した〝父〟が「お前……」と零した。
俺は「失礼します」とだけ言い残し、調理場にいた元康に声をかけてから一献を後にした――。
「では、母との再婚を認めます。ただし、それはあくまで母のためで、あなたのためじゃありません。母を二度とあんな風に傷つけないでください」
「あぁ、約束する。説得力はないだろうが、私が本気で愛せたのはお前の母親だけなんだ」
まったく、どの口が言うんだ……と思う。
だけど、春日野社長が真剣な顔をしているのは火を見るよりも明らかで、母の幸せのためにも不満を飲み込んだ。
「では、俺はそろそろ失礼します。可愛い恋人が帰りを待ってるので」
「智明」
立ち上がった俺を呼び止めた社長が、ためらいがちに口を開く。
「その……今度、三人で食事をしないか? お前と母さんと、私で……」
「お断りします」
「……そうか」
「ですが、私の恋人が同席してもいいのであれば、構いませんよ。――父さん」
気落ちした顔に驚きが浮かび、瞠目した〝父〟が「お前……」と零した。
俺は「失礼します」とだけ言い残し、調理場にいた元康に声をかけてから一献を後にした――。