溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
仲良くお風呂を済ませてベッドに入ると、莉緒が「あの……」と切り出した。
彼女にキスのひとつでもして甘い雰囲気に持っていこうとしていたが、俺は欲望を押し留めて「どうした?」と笑みを向ける。


「さっき言ってた食事会って、いわゆるご両親の再婚のための顔合わせってことですよね? そんな場に、私がお邪魔するのは……」

「そんな大それた話じゃない。莉緒は、いつも通りにしててくれればいいよ」

「でも……お父様は、うちの社長ですし……」

「あんなの、ただのおじさんだ」


困惑顔の莉緒には申し訳ないが、いずれ結婚も考えているため、こればかりは覚悟を決めてもらうしかない。
だいたい、俺が父親の跡を継ぐ覚悟を決めることができたのは、彼女のおかげでもあるのだから。


「俺はさ、今の仕事が楽しくて、営業はわりと天職だと思ってたんだ。サラリーマンだから人事異動はあるにせよ、ずっと営業としてやっていきたいと考えたこともあった」


唐突に話を変えた俺に、莉緒が一瞬きょとんとした顔つきになった。
だけど、彼女はすぐに真剣な眼差しで俺を見つめてきた。

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