溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
Extra Bonus♡
【1】「俺はもう莉緒を手放す気なんてないよ」
*****
銀座の大通りの近くにある、国内有数のホテル。
その地上二十六階に位置するフレンチレストランで、私は緊張の面持ちで座っていた。
「遅くなってごめんなさい」
席に着いてから十分ほどが経った頃に揃って現れたのは、くすみブルーのワンピースを身に纏った美しい女性と、入社式で目にした厳格そうな雰囲気の男性。
智明さんは女性に向かって「別に構わないよ」と微笑んだけれど、視線を合わせた男性に対してはどこか他人行儀な空気を漂わせていた。
「はじめまして、莉緒さん。智明の母です」
笑顔で私に声をかけてくれた女性は、智明さんととてもよく似ていた。
二重の優しげな瞼を緩めると本当にそっくりで、緊張でいっぱいになっていた頭の片隅で彼は母親似なんだと思った。
「はっ、はじめまして! 青山莉緒と申します……!」
強張りそうな顔で必死に笑みを作り、立ち上がって頭を深々と下げる。
顔を上げると、表情の読めない社長と目が合って、無意識のうちに息を呑んだ。
「ひとまず、ふたりとも座れば? ほら、莉緒も。話は座ってからにしよう」
彼の言葉に、社長が小さく頷く。
ふたりが座るのを見ていた私も、おずおずと再び席に着いた。
銀座の大通りの近くにある、国内有数のホテル。
その地上二十六階に位置するフレンチレストランで、私は緊張の面持ちで座っていた。
「遅くなってごめんなさい」
席に着いてから十分ほどが経った頃に揃って現れたのは、くすみブルーのワンピースを身に纏った美しい女性と、入社式で目にした厳格そうな雰囲気の男性。
智明さんは女性に向かって「別に構わないよ」と微笑んだけれど、視線を合わせた男性に対してはどこか他人行儀な空気を漂わせていた。
「はじめまして、莉緒さん。智明の母です」
笑顔で私に声をかけてくれた女性は、智明さんととてもよく似ていた。
二重の優しげな瞼を緩めると本当にそっくりで、緊張でいっぱいになっていた頭の片隅で彼は母親似なんだと思った。
「はっ、はじめまして! 青山莉緒と申します……!」
強張りそうな顔で必死に笑みを作り、立ち上がって頭を深々と下げる。
顔を上げると、表情の読めない社長と目が合って、無意識のうちに息を呑んだ。
「ひとまず、ふたりとも座れば? ほら、莉緒も。話は座ってからにしよう」
彼の言葉に、社長が小さく頷く。
ふたりが座るのを見ていた私も、おずおずと再び席に着いた。