溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
智明さんのご両親は、昨日の朝一番に婚姻届けを提出したと聞いている。
再婚前にこの場を設けるつもりだったようだけれど、多忙な彼と社長の予定がなかなか合わず、かと言って入籍日をずらすことは避けたい……ということで、結果的に再婚した翌日である今日、こうして食事会を行うことになった。


昨日は、一度目の結婚記念日だったのだとか。
思い出深い日に再婚したと聞き、そこにふたりの想いと決意が込められているような気がした。


「ねぇ、莉緒さんは智明のどこが好きなの?」

「えっ?」

「よかったら聞かせてくれない?」


突然の質問に少しだけ戸惑う私を余所に、智明さんは涼しい顔でメイン料理を食べている。
馴れ初めを訊かれたときにはすかさず口を挟んだくせに、こういうときには助け舟を出してくれないんだから、彼はやっぱりずるい。


絶対、私に言わせたいんだ……!


智明さんの魂胆は、わかっていた。
それでも、私は彼のことを紡ぐために口を開いた。

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