溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「なんだ、その顔は」

「……この交際には反対だったんじゃなかったんですか」

「あぁ、そうだ。だが、断固として反対だとも言っていなかっただろう」


とんだ屁理屈ですね、と智明さんが呟いた隣で、私はようやく理解が追いついてきた。
お母様だけは楽しそうに笑っていて、たぶんなにもかもお見通しだったんだろう……とぼんやりと思った。


「あ、あのっ……!」


絞り出したような声を発すると、三人の視線が私に注がれた。
不安は溶け、残った緊張に心臓が掴まれるような感覚を抱きながらも、社長を真っ直ぐ見つめる。


「ありがとうございます……! きちんと安心していただけるように、精進いたします!」


なんだか固い返事だったけれど、それでも社長には響いたのかもしれない。
そう感じたのは、「頑張りなさい」と言った社長の瞳がほんの少しだけ弧を描いていたから。


智明さんとは全然違うけれど、きっとそれが社長の笑顔だと思う。
「はい!」と力いっぱい頷いた私からも、笑みが零れていた。

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