溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「あぁ、そうだ。今度、母とふたりで会うんだって?」

「あ、はい。さっき、お茶に誘われました」


お母様とは、別れ際に連絡先を交換した。
『困ったことがあったらなんでも言ってね』と微笑んでくれていたお母様から、夕方にメッセージが届いてカフェに誘われたのだ。


「俺にもさっき、連絡がきたんだ。【忙しいあなたの代わりに私が莉緒ちゃんとデートしてあげる。羨ましいでしょ?】って」

「お母様、楽しい人ですね」

「そうか?」


智明さんは苦笑していたけれど、私はクスクス笑って頷いた。
「嫌なときはちゃんと断っていいから」と言う彼に、笑顔で首を横に振る。


お母様が好意的に接してくださるのは嬉しいし、できればもっとお母様と話がしてみたい。
なによりも、智明さんのご両親と少しでも仲良くなれたらいいな、と思うから、断るという選択肢はなかった。


「私、すごく楽しみなんです。お母様、智明さんの子どもの頃の話とかしてくれるって」

「あの人、余計なことまで言いそうだな」


眉をひそめた彼を余所に、私は約束の日が楽しみで仕方なかった。

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