溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
ブラックのセダンはよくCMで観るハイブリット式のもので、車内には無駄な物が一切なく、綺麗に整頓されている。
微かに漂う香りはどこかで嗅いだことがあると思うけれど、すぐには思い出せなかった。
「シートベルトしろよ」
「あっ」
「なんだ?」
その答えがわかったのは、穂積課長が運転席に座った時だった。
すぐ隣からふわりと鼻先をくすぐった香りと車内にほのかに漂っているものが同じだと気づき、それが課長の香水だということを理解するまではほんの一瞬だった。
「いえ、なんでもないです」
思わず声を漏らすと少しだけ怪訝な顔をされてしまったけれど、穂積課長はそれ以上は追求することなく前を向いた。
やましいことなんてないのに、なんとなく安堵してしまう。
「まずは飯だな。青山、朝は食べてないだろう? なにかリクエストはあるか?」
「……軽めの物がいいです」
ご飯なんて食べられる気がしなくて少しだけ間を置いてから答えると、課長はエンジンを掛けて車を出した。
微かに漂う香りはどこかで嗅いだことがあると思うけれど、すぐには思い出せなかった。
「シートベルトしろよ」
「あっ」
「なんだ?」
その答えがわかったのは、穂積課長が運転席に座った時だった。
すぐ隣からふわりと鼻先をくすぐった香りと車内にほのかに漂っているものが同じだと気づき、それが課長の香水だということを理解するまではほんの一瞬だった。
「いえ、なんでもないです」
思わず声を漏らすと少しだけ怪訝な顔をされてしまったけれど、穂積課長はそれ以上は追求することなく前を向いた。
やましいことなんてないのに、なんとなく安堵してしまう。
「まずは飯だな。青山、朝は食べてないだろう? なにかリクエストはあるか?」
「……軽めの物がいいです」
ご飯なんて食べられる気がしなくて少しだけ間を置いてから答えると、課長はエンジンを掛けて車を出した。