溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
スープを看板メニューにしているらしいこのお店は、ランチタイムには十種類ほどのスープが用意されていた。
セットもパンや玄米を始め、サラダやお肉といったメニューの中から様々な形でチョイスできるようになっていて、ボリュームの調整もしやすそうだった。


「ここ、よく来るんですか?」

「いや、今日で二回目。外回りの時にたまたま入ったら美味かったから、また来たいと思ってたんだ」

「ひとりで入ったんですか?」

「そうだけど」


「それがどうした?」と訊かれて、慌てて首を横に振った。
シンプルな外観と違って内装は可愛らしい雰囲気だから、男性がひとりで食事をするのは少しだけ違和感があったんじゃないかと思ったことは、さすがに口に出しづらかったから。


考えてみれば、仕事中の穂積課長は柔らかい雰囲気を纏っているから、あの人当たりのいいニコニコとした笑みでいたのなら大丈夫だったのかもしれないけれど……。
課長の本性を知った今は、ひとりでこのお店で食事を摂った姿を想像すると、どうしても笑いたくなってしまう。

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