溺愛誓約〜意地悪なカレの愛し方〜【コミカライズ配信中】
「喜んでくれてよかったよ」

「……っ」


優しい口調でそんな風に零した穂積課長を見れば、瞳を緩めてふわりと破顔された。
その表情はまるで恋人に見せるかのように甘いもので、課長から視線を逸らせないままスプーンを落としてしまいそうになった。


「か、課長も早く食べた方がいいですよ! 冷めますから!」

「言われなくてもちゃんと食べてる」

「それはよかったです!」


きっと、私がテンパっているのはバレバレだったと思う。
反して、穂積課長はごく普通の反応で、その温度差を感じる。


なにか話せば墓穴を掘りそうで、黙々とスプーンを動かすことしかできない。
すると、課長に「青山」と呼ばれた。


「このあと、行きたいところとかあるか?」

「か──」

「却下」

「まだなにも言ってません……」

「帰りたい、って言おうとしただろ。それは却下。今日は夜まで付き合ってもらう」


その言葉に目を丸くした私を余所に、穂積課長は楽しげに笑っている。
課長の台詞をどう理解すればいいのかわからなくて、固まってしまった。

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