極上ショコラ〜恋愛小説家の密やかな盲愛〜
こんなにも俺様な篠原が売れっ子作家だなんて信じたくはないけれど、そう思う私も相変わらず彼の書く作品に魅了されている。彼の作品なら処女作から最新作まで、もう何度読み返したかわからない。
それほど好きな作家なのに、その正体はあの暴君、葛城龍司。
篠原の作品から想像していた作家像と本人の性格が遥かに掛け離れていることに、未だに納得がいかないのだけれど……。それでも出会った時からずっと彼に振り回されている以上、現実はこんなものなのだと落胆するしかない。
ただ、どうしたって、私はやっぱり篠原櫂の作品の虜なのだけれど。
不意にガチャリと音が鳴って、書斎から篠原が出てくる気配がした。
「お疲れ様です」
「あぁ」
「原稿、できましたか?」
「お前は相変わらずそればっかりだな」
面倒臭そうにため息をついた彼は、眉を寄せたまま椅子に腰かける。
「……腹減った」
私の質問には答える気がない篠原に、出来上がったばかりの夕食を出す。
「どうぞ」
ホカホカと湯気を漂わせるハンバーグを前に、端正な顔が少しだけ緩んだのがわかった。
「和風ハンバーグか」
食事前の彼はどこか穏やかで、いつもほんの少しだけ戸惑いが生まれる。
それほど好きな作家なのに、その正体はあの暴君、葛城龍司。
篠原の作品から想像していた作家像と本人の性格が遥かに掛け離れていることに、未だに納得がいかないのだけれど……。それでも出会った時からずっと彼に振り回されている以上、現実はこんなものなのだと落胆するしかない。
ただ、どうしたって、私はやっぱり篠原櫂の作品の虜なのだけれど。
不意にガチャリと音が鳴って、書斎から篠原が出てくる気配がした。
「お疲れ様です」
「あぁ」
「原稿、できましたか?」
「お前は相変わらずそればっかりだな」
面倒臭そうにため息をついた彼は、眉を寄せたまま椅子に腰かける。
「……腹減った」
私の質問には答える気がない篠原に、出来上がったばかりの夕食を出す。
「どうぞ」
ホカホカと湯気を漂わせるハンバーグを前に、端正な顔が少しだけ緩んだのがわかった。
「和風ハンバーグか」
食事前の彼はどこか穏やかで、いつもほんの少しだけ戸惑いが生まれる。