極上ショコラ〜恋愛小説家の密やかな盲愛〜
「そんなこと、言われなくてもわかっています。ただ……」
私を見下ろす篠原の瞳を、まるで睨むようにグッと見据える。
「恋人がいらっしゃるのなら、次回作にはその方をお使いになればいかがですか? たった一度寝ただけの女との話をネタにするより、よほど読者受けもいいと思いますよ」
なんて嫌味な言い方なのだろう。
これではまるで、嫉妬を剥き出しにしている愚かな女だ。
「……お前、いい加減にしろよ」
眉をグッと寄せた表情は、怒っているというよりもうんざりしているように見えた。
綺麗な顔を歪めている彼に、それはこっちの台詞だと言ってやりたい。
お腹の底に溜まっていく負の感情を必死に押し込め、深呼吸の代わりにため息をついた。
私は、きっともう、以前のように篠原と仕事はできない。
大したことは任されていないけれど、彼を前にすると公私混同してしまって、仕事だということを忘れてしまうから。
「先生の担当者を替えてもらえるように言っておきます」
「は?」
突然過ぎる私の言葉に、篠原は目を大きく見開いた。
「私はもう……先生の担当者として仕事をする自信がありません……」
胸の奥から込み上げる熱が、喉を通過しそうになる。それを堪えながら、彼から視線を逸らした。
私を見下ろす篠原の瞳を、まるで睨むようにグッと見据える。
「恋人がいらっしゃるのなら、次回作にはその方をお使いになればいかがですか? たった一度寝ただけの女との話をネタにするより、よほど読者受けもいいと思いますよ」
なんて嫌味な言い方なのだろう。
これではまるで、嫉妬を剥き出しにしている愚かな女だ。
「……お前、いい加減にしろよ」
眉をグッと寄せた表情は、怒っているというよりもうんざりしているように見えた。
綺麗な顔を歪めている彼に、それはこっちの台詞だと言ってやりたい。
お腹の底に溜まっていく負の感情を必死に押し込め、深呼吸の代わりにため息をついた。
私は、きっともう、以前のように篠原と仕事はできない。
大したことは任されていないけれど、彼を前にすると公私混同してしまって、仕事だということを忘れてしまうから。
「先生の担当者を替えてもらえるように言っておきます」
「は?」
突然過ぎる私の言葉に、篠原は目を大きく見開いた。
「私はもう……先生の担当者として仕事をする自信がありません……」
胸の奥から込み上げる熱が、喉を通過しそうになる。それを堪えながら、彼から視線を逸らした。