極上ショコラ〜恋愛小説家の密やかな盲愛〜
「先生だって……私みたいな人間より──」
「ふざけるな」
震えそうになる声で話す私を遮ったのは、唸るように低い声。
聞いたことがないその声音に体がビクリと強張った直後に腕を引っ張られ、そのまま引きずられるようにして書斎から出された。
「せっ……!」
「うるさい」
ひと言で私を黙らせた篠原は、リビングに入るとテーブルに置いてあった箱を掴み、私を黒いレザーソファーに押した。
正式には“投げた”と表現する方が正しいのではないかと思うほどの勢いに驚き、彼が私の上にいることに気づくのが僅かに遅れてしまった。
鮮明に蘇ってくるのは、あの夜の情事。
だけど、それは私が経験した時のものなのか、それとも【失恋ショコラ】のワンシーンなのか、判断ができなかった。
「鈍い鈍いとは思ってたけど、ここまでだったとはな」
混乱する頭の中に、篠原の呆れたような言葉が入ってくる。
そして、いったいなんの話をしているのだろうと考えるよりも早く、続けて信じられない言葉が落とされた。
「そんなにわからないなら、もう一度抱いてやるよ」
まるで金縛りに遭ったかのように動かない体とは裏腹に、胸の奥がドクンと高鳴る。
目の前には、あの夜と同じように妖艶な瞳があった──。
「ふざけるな」
震えそうになる声で話す私を遮ったのは、唸るように低い声。
聞いたことがないその声音に体がビクリと強張った直後に腕を引っ張られ、そのまま引きずられるようにして書斎から出された。
「せっ……!」
「うるさい」
ひと言で私を黙らせた篠原は、リビングに入るとテーブルに置いてあった箱を掴み、私を黒いレザーソファーに押した。
正式には“投げた”と表現する方が正しいのではないかと思うほどの勢いに驚き、彼が私の上にいることに気づくのが僅かに遅れてしまった。
鮮明に蘇ってくるのは、あの夜の情事。
だけど、それは私が経験した時のものなのか、それとも【失恋ショコラ】のワンシーンなのか、判断ができなかった。
「鈍い鈍いとは思ってたけど、ここまでだったとはな」
混乱する頭の中に、篠原の呆れたような言葉が入ってくる。
そして、いったいなんの話をしているのだろうと考えるよりも早く、続けて信じられない言葉が落とされた。
「そんなにわからないなら、もう一度抱いてやるよ」
まるで金縛りに遭ったかのように動かない体とは裏腹に、胸の奥がドクンと高鳴る。
目の前には、あの夜と同じように妖艶な瞳があった──。