極上ショコラ〜恋愛小説家の密やかな盲愛〜
なんということだろう。
篠原は私が気づくよりも遥かに前から、私の想いに気づいていたのだ。
彼の言う通り、私の鈍さとバカさは本当にギネス級なのかもしれない。
「ちょっ……! なにしてるんですか!」
気がつくと、コートとスーツの上着を開かれ、すでにシャツのボタンが外されているところだった。
「どうせ、お前と話しててもラチが明かないだろ」
「……っ」
篠原の手がシャツの下から這い上がってくる感覚に体を震わせると、彼が妖艶さを孕んだ瞳を緩めて満足げな笑みを零す。
「とりあえず、抱かせろよ」
篠原はいつだって、いとも簡単に私の心を翻弄する。
逃げたい。
だけど、逃げられない。
むしろ、本当は逃げる気なんてないのだ。
きっとまた、ドロドロに溶かされる。
そんな予感に体の熱がますます高まって、もうなにも考えられなくなっていく。
いつから私のことを好きだったのかとか、どんな気持ちで【失恋ショコラ】を書いたのかとか……。
訊きたいことはたくさんあるのに、今はただ近づいてくる篠原の唇を受け入れることしかできなくて……。曖昧なままのそれらは、あの夜とよく似たほろ苦いチョコ味のキスと一緒にそっと溶けていくのだった──。
篠原は私が気づくよりも遥かに前から、私の想いに気づいていたのだ。
彼の言う通り、私の鈍さとバカさは本当にギネス級なのかもしれない。
「ちょっ……! なにしてるんですか!」
気がつくと、コートとスーツの上着を開かれ、すでにシャツのボタンが外されているところだった。
「どうせ、お前と話しててもラチが明かないだろ」
「……っ」
篠原の手がシャツの下から這い上がってくる感覚に体を震わせると、彼が妖艶さを孕んだ瞳を緩めて満足げな笑みを零す。
「とりあえず、抱かせろよ」
篠原はいつだって、いとも簡単に私の心を翻弄する。
逃げたい。
だけど、逃げられない。
むしろ、本当は逃げる気なんてないのだ。
きっとまた、ドロドロに溶かされる。
そんな予感に体の熱がますます高まって、もうなにも考えられなくなっていく。
いつから私のことを好きだったのかとか、どんな気持ちで【失恋ショコラ】を書いたのかとか……。
訊きたいことはたくさんあるのに、今はただ近づいてくる篠原の唇を受け入れることしかできなくて……。曖昧なままのそれらは、あの夜とよく似たほろ苦いチョコ味のキスと一緒にそっと溶けていくのだった──。