極上ショコラ〜恋愛小説家の密やかな盲愛〜
「なっ、なんでっ……!?」
「図星か」
驚いて持っていた食器を落としそうになった私に、片方の口角だけを上げた顔が得意げな笑みを浮かべる。
「だってお前、昨日は『彼氏と会う』って言ってたのに、こんな物バッグに入れたままだし」
驚く私の視界に入ってきたのは、見覚えのあるラッピングボックス。
「そういえば、昨日はバレンタインだったな」
慌てて篠原のもとに駆け寄って、それを奪い返そうとしたけれど──。
「勝手に見ないでください!」
彼は椅子から立ち上がってヒラリと躱し、私を見下ろしながら口元を緩めた。
「別に勝手に見たわけじゃない。こいつの方から、俺の視界に入ってきたんだよ」
「どんな言い訳ですか!」
篠原はいつものような高圧的な態度とは違い、どこか楽しそうにニヤニヤと笑っている。
「へぇ、お前が手作りねー」
バカにされたのだとわかってムカつきながらも、彼を相手にしては敵わないことは重々理解している。私は眉を寄せてため息をついたあと、手を引っ込めた。
「……それが欲しいなら差し上げますから、さっさと原稿を書いてください」
そのボックスも中身も、どうせ行き場を失くしてしまったのだ……。
今更、どちらも必要ない。
「図星か」
驚いて持っていた食器を落としそうになった私に、片方の口角だけを上げた顔が得意げな笑みを浮かべる。
「だってお前、昨日は『彼氏と会う』って言ってたのに、こんな物バッグに入れたままだし」
驚く私の視界に入ってきたのは、見覚えのあるラッピングボックス。
「そういえば、昨日はバレンタインだったな」
慌てて篠原のもとに駆け寄って、それを奪い返そうとしたけれど──。
「勝手に見ないでください!」
彼は椅子から立ち上がってヒラリと躱し、私を見下ろしながら口元を緩めた。
「別に勝手に見たわけじゃない。こいつの方から、俺の視界に入ってきたんだよ」
「どんな言い訳ですか!」
篠原はいつものような高圧的な態度とは違い、どこか楽しそうにニヤニヤと笑っている。
「へぇ、お前が手作りねー」
バカにされたのだとわかってムカつきながらも、彼を相手にしては敵わないことは重々理解している。私は眉を寄せてため息をついたあと、手を引っ込めた。
「……それが欲しいなら差し上げますから、さっさと原稿を書いてください」
そのボックスも中身も、どうせ行き場を失くしてしまったのだ……。
今更、どちらも必要ない。