極上ショコラ〜恋愛小説家の密やかな盲愛〜
Chocolat,04 嫉妬は極上のスパイス
パーティーが終わる頃、篠原とセリナさんの姿が見当たらなくなった。
ほんの少し目を離しただけだったのに、その間に忽然と消えてしまったふたり。
考えてしまうのは良からぬことばかりで、何杯目かわからないシャンパンを飲み干したあとで監督たちに挨拶をし、焦燥感を押し込めながら会場を後にした。
一階に到着したエレベーターを降り、彼の姿が見えないことへの不安を隠すようにできるだけなにも視界に入れないように外に出ようとしたけれど──。
「おい!」
あと一歩というところで腕を掴まれ、咄嗟に振り返った。
私の腕を掴んだのは篠原で、思わず目を丸くしてしまう。
「なに勝手に帰ろうとしてるんだよ、バカ女」
「……どうしてここにいらっしゃるんですか?」
「はぁ?」
眉を寄せていた彼の顔に浮かぶ不機嫌の色が濃くなり、鋭い視線を投げられる。
「セリナさんとお泊まりになるんじゃないんですか?」
怯みそうになりながらも、上手く抑え込めていなかった焦燥感から淡々とした声音が零れたせいで、意図せずに篠原と対峙するような状態になっていた。
「ふざけるな。なんで俺があんな女と泊まらないといけないんだよ。新手の嫌がらせか?」
「ちょっ……!」
言い終わるよりも早く歩き出した彼は、私の腕を掴んだままエレベーターの方へと向かった。
ほんの少し目を離しただけだったのに、その間に忽然と消えてしまったふたり。
考えてしまうのは良からぬことばかりで、何杯目かわからないシャンパンを飲み干したあとで監督たちに挨拶をし、焦燥感を押し込めながら会場を後にした。
一階に到着したエレベーターを降り、彼の姿が見えないことへの不安を隠すようにできるだけなにも視界に入れないように外に出ようとしたけれど──。
「おい!」
あと一歩というところで腕を掴まれ、咄嗟に振り返った。
私の腕を掴んだのは篠原で、思わず目を丸くしてしまう。
「なに勝手に帰ろうとしてるんだよ、バカ女」
「……どうしてここにいらっしゃるんですか?」
「はぁ?」
眉を寄せていた彼の顔に浮かぶ不機嫌の色が濃くなり、鋭い視線を投げられる。
「セリナさんとお泊まりになるんじゃないんですか?」
怯みそうになりながらも、上手く抑え込めていなかった焦燥感から淡々とした声音が零れたせいで、意図せずに篠原と対峙するような状態になっていた。
「ふざけるな。なんで俺があんな女と泊まらないといけないんだよ。新手の嫌がらせか?」
「ちょっ……!」
言い終わるよりも早く歩き出した彼は、私の腕を掴んだままエレベーターの方へと向かった。