君がくれた明日は、七色の光を描いている
「紗矢花、ごめんね邪魔して。話の途中だった?」

「ううん、いいの。たいした話じゃないから」

「そう? じゃあ借りてくね」


アリサが朝陽くんを促すと、彼は私の方へ視線を流して。

ほんの一瞬だけ、視線が結ばれる。


「また後でね」


すれ違いざま、アリサには届かないくらいの小さな声が聞こえた。

遠ざかっていく彼の背中を目で追っていると

「また後でね、だって」

朝陽くんの真似をする陽介が、ニヤニヤ笑っている。

同じ声なものだから、タチが悪い。


「――もう、離れてよ」


陽介を突き飛ばすと、私は自分の教室へ逃げるように入った。



朝陽くんと目が合ったとき。

私は、どんな表情をしていたのだろう――。


< 10 / 40 >

この作品をシェア

pagetop