君がくれた明日は、七色の光を描いている
*
「このくらいでいいかな」
屋上の一角にある花壇に水をあげ終え、ジョウロを片づける。
本当は生徒会に入っている兄の当番なのだけれど、たまに私が水やりを任されていた。
兄から預かっていた屋上の鍵を取り出しながら、ふと校庭へ視線を移した。
透き通るような青空が目にしみる。
フェンスに指をかけて、網目の隙間から下を覗き込むと。
黒いセーラー服と詰襟の学生服姿の一組のカップルが、仲良く校門を出て行くのが見えた。
「――あ。女の子と一緒に歩いてる」
男の方は、どう見ても私の“彼氏”。
軽く胸が痛むけれど、いつものことだ。
「用事があるから先に帰るって、私に言ってきたのに」
用事って、他の女の子とのデートだったんだね。
「紗矢花、まだ別れてなかったんだな」
隣に並んだ陽介は、地上に目線を落としたまま唇を歪めた。
「このくらいでいいかな」
屋上の一角にある花壇に水をあげ終え、ジョウロを片づける。
本当は生徒会に入っている兄の当番なのだけれど、たまに私が水やりを任されていた。
兄から預かっていた屋上の鍵を取り出しながら、ふと校庭へ視線を移した。
透き通るような青空が目にしみる。
フェンスに指をかけて、網目の隙間から下を覗き込むと。
黒いセーラー服と詰襟の学生服姿の一組のカップルが、仲良く校門を出て行くのが見えた。
「――あ。女の子と一緒に歩いてる」
男の方は、どう見ても私の“彼氏”。
軽く胸が痛むけれど、いつものことだ。
「用事があるから先に帰るって、私に言ってきたのに」
用事って、他の女の子とのデートだったんだね。
「紗矢花、まだ別れてなかったんだな」
隣に並んだ陽介は、地上に目線を落としたまま唇を歪めた。