君がくれた明日は、七色の光を描いている
私は鞄の中から取り出した手紙を、ジンに渡す。
「たちの悪い嫌がらせだな」
ジンは手紙を一瞬見ただけで、すぐに返してきた。
「お兄ちゃんには言わないでね。変に心配するから」
「心当たりは?」
「ないよ。というより、心当たりがありすぎて。誰だかわかんない」
「日頃の行いが悪いからな……」
「あ。これありがと」
上着を脱いで返すと、ジンはどこか心配そうに私を見た。
「何かあったらすぐ呼べよ」
「大丈夫だよ。私のこと、そんなに心配?」
「……馬鹿。隼斗の妹だからって、言ってるだろ」
含み笑いする私の頭に軽く手を置き、ジンは外科医院の門ではなく、隣に建つ豪邸の門をくぐっていった。
淡く消えかけた夕日の下。
一人になって、本当は少し心細かった。