君がくれた明日は、七色の光を描いている


掃除が終わり、皆が帰っていった頃。

曇り空の下に広がる校庭を、ただ眺めていた。


今日は智也と一緒に帰る約束をして、門のところで待ち合わせをしているから、まだ彼は帰っていないはず。

いくつか玄関から校庭へ歩いていく影があり、しばらくしてその中に、智也の背中を見つけた。


黒い門のそばで立ち止まり、校舎側を向いてわたしを待っているよう。

だけど……

走り寄って来た一人のセーラー服の女子と、智也の影が重なって――

ただの友達とは思えない距離に近づいた二人は、恋人同士そのものに見えた。

女の子の方が彼に抱きついて、智也がそれに応え、じゃれ合っているかのように……。


実際にその現場を目にしてしまうと、思ったより自分が傷ついていることに気がついた。

見てはいけないものを見た気分になり、心拍数の上がっていく胸を押さえながら窓に背を向けた。

そのまま、ずるずると教室の冷たい床に座り込む。


智也のことで泣くはずがないのに。

頬を濡らしていく涙も、一緒になって床に落ちた。

< 35 / 40 >

この作品をシェア

pagetop