君がくれた明日は、七色の光を描いている
智也に寄り添っていた女は、私に嫌がらせをしてきた、気の強そうな猫目の女にも似ていた。
この涙は悔し涙なのか。
それとも、心に傷をつけられ、流れた血の代わりなのか……。
「何してるの、紗矢花」
静かに教室のドアが開き、窓際で一人しゃがんでいる私を不思議そうに見つめる人がいた。
紺色のニットの上に制服を羽織った、細身のシルエット。
サラサラと流れるセピア色の髪は、いつもどおり無造作に整えられている。
「朝陽くんこそ。アリサと一緒じゃないの?」
指先で涙を拭いた私は、何事もなかったように振る舞った。
「ああ、用事があるからって先に帰ったみたいだ」
隣に立った朝陽くんは、ふと窓の方へ顔を向けた。
「――あれって、もしかして」
彼も智也たちの影に気づいたようで、整った綺麗な眉をひそめ、私に視線を戻した。
「紗矢花は、幸せなんじゃなかったの?」
返す言葉が思いつかなくて、冷たい床に視線を彷徨わせる。