君がくれた明日は、七色の光を描いている



「昨日はごめんな、一緒に帰れなくて」


曇り空が憂鬱な朝。

待ち合わせの公園前に現れた、制服姿の智也(ともや)は、申し訳なさそうな顔で謝ってきた。

ワックスで遊ばせた蜂蜜色の髪から覗く耳には、シルバーのピアスが3つ並んでいる。

1つは、私が彼の誕生日に贈ったピアス。
あとの2つは、たぶん他の女の子からのプレゼント。


私がわざとうつむいて、寂しそうな表情を作ると、智也は頭を優しく撫でてきた。


「また女の子と会ってたんでしょ。一緒に帰ってるところ見たよ」


黙っておけばいいのに、私の口からは、つい彼を責める言葉が出てしまう。

彼の視線がスッと斜め下に走るのを、冷めた瞳で観察した。


「……あの女とは何もないって。昨日はただ、後輩の見舞いに付き合ってただけなんだ。俺は、紗矢花一筋に決まってんだろ」


私の視線をかわすように、智也は学校の方角へと歩き出す。


――そうやっていつも、うまく言いくるめられる。

女の影があったって、智也は変わらず優しいから。

私はその影を気のせいだと思い込んで、彼を許すしかない。

< 4 / 40 >

この作品をシェア

pagetop