あなたが居なくなった日。
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その日の練習にどうして私が呼ばれたのか分からないほど、新田くんの演奏は完璧だった。
だけどそれが当たり前だ。
新田くん相手じゃなくても、普通クラスの私が特進クラス様にアドバイスとかできすはずもない。
結局、練習室を借りれるギリギリの二時間を、新田くんがピアノを弾き、私はそれをただ聴いているだけで終わった。
「やっぱりすごいね。
同じ曲ばかり延々とだったけど、ぶっちゃけるとまだまだ全然聴いてられる。
いくらだって聴き続けられる」
「ふふ。ありがとう」