あなたが居なくなった日。
『まもなく八時になります。残っている生徒は片付けを始めてください』
防音の練習室に下校を促す放送が流れる。
ここからは見えないけど、外はすっかり暗くなっているだろう。
「三咲ちゃんってさ、友達少ないよね」
放送が止まってから聞こえてきたのは失礼過ぎるワード。
だけどその言葉に嫌な感じは全く含まれていないように思えた。
「うん。極度の人見知りだからね。
いま友達と言えるのは一人だけだよ」
私の返答に、新田くんは広角を上げて応える。
「おーけー。じゃあ特別の特別。
三咲ちゃんにだけ僕の秘密を教えてあげる」