あなたが居なくなった日。

新田くんは弾かなくなったのだ。

放課後の練習室で私が弾けば極たまにアドバイスとしてほんの少しのフレーズを奏でてくれる時はあった。

けれどフルでの演奏はもちろん、新田くんは自らピアノに触れなくなった。

放課後の練習を始めたばかりの頃は新田くんも少しは弾いていた。

そうじゃなくても私が弾き始めると時たま割り込んできて私を混乱させたりしてきてた。

だけど直近はそれすらなかった。

いつからだったか明確な境目は覚えてないけど、最近ピアノに触れなくなったのだけは確実だ。

どうしたんだろう？

単に気分だったのか。

ピアノは普段飽きるくらい弾いているから敢えて触れなかったのか。