あなたが居なくなった日。

だけど全てを終えたいまの時刻は午前十一時。

だから私は練習室に行ってみた。

新田くんのことだ。

二週間の休みが明けて、きっといまは歌い気持ちが強いんじゃないかなって思った。

って言うのは後付けで、私が聴いて欲しかった。

早く新田くんの音を聴きたい。

でも、今日だけはそれ以上に私の演奏を聴いて欲しかった。

冬休みの間に練習しまくった成果を早く聴いて欲しかった。

年始に行ったおばあちゃんの家で、私はひたすらにピアノを弾き続けていた。

だから、早く私の音も聴いて欲しいと思った。
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