旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
貧血気味と言ってしまったので、勧められるがまま海藻サラダと赤身のステーキを注文して、ビールで乾杯をした。
美味しい食事に、落ちていた気分も少しずつ回復していく。
「香澄と成暁くんって付き合ってるの?」
「えっ!?」
前置きもなく単刀直入に質問されてむせてしまった。
涙目になりながらビールを喉に流し込む。
「付き合ってませんよ」
嘘ではない。私たちはお友達ということになっている。
長谷川さんがジョッキをドンッとテーブルに置いて大きな声で言う。
「成暁が吉岡ちゃんのことが好きなのはバレバレだよな。で、吉岡ちゃんの気持ちは?」
「なにもないですよ……」
佳奈さんは珍しく、ニヤッと意地悪い笑みを浮かべる。
「ふーん。でも、その反応はなにかあるわね」
「別にそんな……」
「香澄も照れたりするのね。新鮮だわ」
からかうつもりではないのは、佳奈さんの穏やかな表情から伝わってくる。
隠したところでなにかしらバレているようだし、少しくらいなら相談にのってもらってもいいかな……。