旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
唇が離れ、目を開けると優しく微笑む顔がある。
綺麗な瞳に吸い込まれるように、もう一度、触れるだけのキスをした。
……あれ。今、自分からキスした?
整った顔を見つめ、更に鼓動が速まった。
目を合わせていられなくて視線を逸らす。
「酔い醒めた?」
彼はクスッと笑い、私の頬をゆっくりと指でなぞる。
「……はい」
「じゃあ帰ろう」
「本当にすみません。成暁さん疲れているのに」
「香澄に会いたいからきたんだよ」
「……私も、会えて嬉しいです」
酔った勢いだった。
口からするりと滑り落ちた言葉に成暁さんは目を見張った後、子供のようにあどけなく笑った。