旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
「もしかして昔の男になにか言われた? だとしたら、そいつはろくな男じゃない」

 成暁さんは忌々しげに吐露する。

 存在しない相手にヤキモチを焼いている姿がどうしようもなく愛おしく感じて、彼に触れたくなった。

 でも勇気のない私がそんな大胆な行動が取れるはずもなく。

「もうひとつ、言ってなかったことがあるんですけど」

 成暁さんは首を傾げる。

「私、交際経験ないので……」

 だから、誰かになにかを言われたことはない。成暁さんの言うように夏でも長袖を着ていたし、皆と更衣室で着替える時もインナーは絶対に脱がなかった。

 きっと誰も知らない。

 成暁さんは僅かに目を見張る。

 二十五にもなって誰とも付き合ったことがないなんて、世間一般では問題があるって言われるんだよね?

 引かれちゃったかな。それとも重たい女だって思われた?
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