旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
「もしかしてキスも初めてだった……?」

 困惑気味の声に小さく頷く。するとなにを思ったのか、強引に身体を引き寄せた成暁さんに抱きしめられた。

「あ、あのっ」

「やばい。初めてが俺とか嬉しくて顔がにやける」

「えっ? 面倒くさいとか思わないんですか?」

「思うわけないだろ。これから香澄の初めてを奪うのが俺で、しかも俺以外誰も知らないんだ。こんなに最高なことってない」

 初めてって! そ、そういうことだよね!?

 成暁さんは私との関係をそこまで望んでいるんだ……。

 そうだよね。男の人だもの。そう考えるのは普通のことなんだよね。

 ずっと言えずにいたことを打ち明けて、しかも受け入れてもらえて。隠し事がなくなった今、私が成暁さんに一線を引く理由はない。だけど、やっぱり彼と付き合うことが怖い。

 ただえさえ迷惑をかけているのに、恋人同士になって結婚までしてしまったら、両親を亡くしてから甘えられる人が存在しない私は、彼を頼りきってしまうのではないだろうか。
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