旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
ふたりとは中心街に近い駅で待ち合わせることになった。
駅構内から地上へ出ると、すぐ目の前には主要幹線道路があり、ひっきりなしに車が行き交っている。
久しぶりに街中にきたなぁ。
よく待ち合わせに利用されるモニュメントがあり、そこで先に待っていたふたりが私を見つけて手を軽く挙げた。
「香澄ちゃん! こっちこっち!」
最初から彼女たちと遊ぶことはやめておこうと思っていたので、どこかに向かって歩き出そうとする後ろ姿を呼び止めた。
「あのっ、ごめん。実は急に仕事が入っちゃったの」
ゆみかは顔を顰める。
「えー?」
祥子はとても残念そうにする。
「そっかぁ。仕事なら仕方ないねぇ」
「本当にごめん」
ゆみかは、「じゃあ宝来さんのことだけでも」と、私が切り出す前に喋り始めた。
「繋がりがあるなら、香澄ちゃんが紹介してくれるのが一番手っ取り早いんだけど」
勇気がしぼんでしまわぬようブレスレットを握る。