旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
「両親に心配をかけたくないというから俺が付き添ったんだ。相談できる友人もいなかったみたいで」

「それで、早乙女さんは大丈夫なんですか?」

「警察も動いてくれることになったし、今のところ問題は起きていない。そのことがあったから、事情を知っている俺が、責任持って美織を家まで送り届けなければいけなかったんだよ」

 そんな大変な事情があったとは知らずに、私はなんてつまらないヤキモチを焼いてしまったんだろう。

 少しでも相手の立場になって考えようとしなかったことに情けなくなる。

「分かってもらえた?」

「はい。ごめんなさい」

「どうして謝る?」

 成暁さんが腕の力を弱めて顔を覗き込む。

「だって私、ふたりの関係を疑っていました」

「……疑って、香澄はどんな気持ちだった?」

「辛くて、不安で、悲しかったです」

「どうして?」

 成暁さんが上手に促してくれているのが分かる。

 心臓がトクトクと小刻みに鳴っている。

「成暁さんが好きだからです」

 やっと言えた。

 気持ちを自覚してから伝えたくて仕方なかった想いを、こんなにも簡単に口にすることができるなんて。やっぱり成暁さんはすごい。
< 160 / 180 >

この作品をシェア

pagetop