旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
「もう我慢しなくていいんだな?」

 艶っぽい声で言われて、ぞくりと身体が震えた。

 最初から返事を聞く気なんてなかったのか、成暁さんは身体を僅かに離すとそっとキスをした。

「もう二度と香澄にそんな顔はさせない。だから、香澄の全てがほしい」

 言葉にならなかった。

 胸を突き上げる想いが苦しくて、息をするだけで精一杯。

 返事の代わりに瞳を見つめ返すと、成暁さんが私を担ぎ上げて隣の部屋に移動する。しかも、途中で部屋の照明スイッチをオフにするという器用さ。

「待って! 怖い!」

 とんでもない体勢で、突然暗闇に襲われた私はパニック状態だ。

 成暁さんはお構いなしに私をベッドの上に押し倒した。暗闇の中で薄っすらと見える彼の瞳は獰猛な動物のよう。

 喰われる……。

 そんな言葉が頭を過ぎった時には、もう唇に噛みつかれていた。

「まっ……て」

 シャワーを浴びたいのに。

「待たない」

 成暁さんの声も余裕がないように聞こえる。
< 161 / 180 >

この作品をシェア

pagetop