旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
【番外編】愛おしい彼女
最近、香澄が可愛くて困っている。いや、元々可愛かったんだけど、俺を好きだと言ってくれるようになってからとどまるところを知らない。
今日の香澄も間違いなく可愛いんだろうな。
そんなことを考えながら、久方ぶりに乗車した電車に揺られている。
街はすっかりクリスマスムード一色に染まり、ラジオや立ち寄る店舗で流れる音楽も、聞き馴染みのあるクリスマスソングが増えた。
そんな陽気な雰囲気に乗っかって、俺たちも今日は泊まりがけでイルミネーションを見に行く予定をしている。
うぶで警戒心の強い彼女を誘うのは難しく、この特別な催しを利用しない手はなかった。
一夜を共にするのは初めて関係を持ったあの日以来。ぶっちゃけ、いろいろとだいぶ溜まっている。
十七時の待ち合わせ五分前に駅のホームに到着し、車両から多くの人間がどっと押し出される。人の波に流されて改札を抜けると、先に俺を見つけた香澄が「成暁さん」と駆けてきた。
はにかむ姿が可愛くて、今すぐ抱きしめてキスしたい衝動に駆られる。
もどかしいと感じるこの気持ちも、香澄と出会ってから初めて抱くようになった。