旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
うう……胸が苦しい。
窮屈に感じるのは、みぞおちを帯で締め付けられているせいだけではない。
どこかずっと他人事のように感じていたけれど、ここまでくるとさすがに緊張してくる。
すっごく変な人だったらどうしよう。
今更ながら不安に駆られていると、「お連れ様がお見えになりました」と、襖の向こうから声がかかった。
戸がスライドして、颯爽と入ってきた男性の姿を目に留めた瞬間、驚きのあまり息が止まる。
え!? どういうこと!? なんで宝来部長がここに……。
一昨日会った時よりも輝いて見えるのは、たぶん身なりのせいだと思う。
彼が纏っているのは、精悍(せいかん)な印象が漂うダークネイビーのスリーピースのスーツ。まるで鎧でも身に付けているような威圧感だ。