旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
「そこは、お友達からということにしていただけませんか」

「お友達?」

「はい。お友達です」

 どこか不満気に見えるのは気のせいではないと思う。でもこれだけは譲れない。

 だって、付き合うとなれば心だけでなく身体も許さなければならない。そんなの無理だ。

 穴が空きそうなほど見つめられても、怯むことなく見つめ返す。すると、宝来部長は諦めの吐息を漏らした。

「分かった。香澄のペースに合わせるよ」

「ありがとうございます」

 よかった。了承してもらえて。

「その代わり、ひとつ言うことを聞いてもらえる?」

「な、なんでしょうか……」

 ビクビクしながら続きの言葉を待つ。

「プライベートでは名前で呼んで」

「名前、ですか」

「そう。さっき呼んでくれたじゃん。あんな感じで」

 あれは宝来部長のご両親の前だったからだし、ものすごい勇気を振り絞って呼んだのだ。
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