旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
叔父さん以外に、異性を下の名前で呼んだ経験がないため、約束したところで守れるかが怪しい。
頷くことができずにいると、宝来部長が身を屈めて目線を合わせてきた。
ち、近い!
息づかいが感じられる距離に、一気に顔が熱くなる。
「それが無理なら、今すぐキスするけど?」
片方の口角だけを上げ、意地悪く笑う顔に心臓が口から飛び出してしまいそうなほど跳び上がる。
私の顔、たぶんすごいことになっていると思う。
羞恥から唇を震わせていると、宝来部長は私の頬に手を添えて柔らかく微笑んだ。
「言えるよな? それともキスされたい?」
「成暁さん!!」
これ以上おかしな流れにならぬよう、どうにでもなれという気持ちで叫んだ。
宝来部長は虚を突かれたらしく、一瞬ぽかんとしてから、盛大に噴き出した。
「あっはっは!」
え、ちょっと。そんなに笑う?