旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
「飲み物はどうする? ワインが美味しいから、苦手じゃなければおすすめだよ」

 優しく微笑まれて困ってしまう。

 すすめてくれているし、せっかくだから飲みたい気持ちもある。だけど、車の運転がある成暁さんは飲めないし、自分だけ飲むというのも気が引ける。

 成暁さんは黙ったままの私を見つめた後、メニュー表を閉じて店員に手渡す。

「料理に合わせたワインを持ってきてもらえる?」

「かしこまりました」

 お辞儀をして下がった店員を見届けると、成暁さんは穏やかに微笑む。

「俺も一緒に飲むから付き合って」

「運転はどうするんですか?」

「運転手をよこすから安心して。送り狼になろうと思っていたのに残念」

 冗談で言っているのは当然分かる。

 こんな気を使わせるくらいなら、最初から飲むって言えばよかった。
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