旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
「今日はお墓参りに行ってきたの?」
この質問で、彼がおおよそのことを知っているのだと察する。
「いえ。明日行こうと思っています。何年も誕生日に手を合わせに行っていたら、誕生日を祝ってくれる相手もいないのかと、父と母を心配させると思って」
言ってから、余計なことを話してしまったと後悔した。
こんな暗い話を聞かされても、対応に困らせるだけなのに。
「それなら明日はいい報告ができるね」
満足気に笑う顔に、胸を鷲掴みされたかのような痛みが走る。
誕生日よりも命日を優先すると自分が決めた。そのくせ、ずっと誰かに祝ってもらいたいと思っていた。
誰にも言えない願いを、いきなり現れた人がいとも簡単に叶えてくれるなんて。
テーブル同士は離れているし、淑やかな隣の客人たちの声は聞こえない。私たちだけの時間がゆるやかに流れている。
この質問で、彼がおおよそのことを知っているのだと察する。
「いえ。明日行こうと思っています。何年も誕生日に手を合わせに行っていたら、誕生日を祝ってくれる相手もいないのかと、父と母を心配させると思って」
言ってから、余計なことを話してしまったと後悔した。
こんな暗い話を聞かされても、対応に困らせるだけなのに。
「それなら明日はいい報告ができるね」
満足気に笑う顔に、胸を鷲掴みされたかのような痛みが走る。
誕生日よりも命日を優先すると自分が決めた。そのくせ、ずっと誰かに祝ってもらいたいと思っていた。
誰にも言えない願いを、いきなり現れた人がいとも簡単に叶えてくれるなんて。
テーブル同士は離れているし、淑やかな隣の客人たちの声は聞こえない。私たちだけの時間がゆるやかに流れている。