旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~

 私も笑いながら、長年酷使し続けている手首を眺めた。

「そんなこと言ってくれるの、成暁さんくらいですよ」

 誰にも分かってもらえない痛み。それでも、痛みに変えても叶えたい願いがある。

 労わってもらえたことで、初めて私も自分の身体と心を労わるべきだと感じた。

「つけてもいいですか?」

「もちろん。つけさせてもらってもいい?」

「はい。お願いします」

 遠慮がちに手首を差し出すと、成暁さんは慣れた手つきでブレスレットをつけてくれた。

「今日は来てくれてありがとう。正直なところ、断られるかと思ってた」

 一方的だったし、断る選択肢なんて与えられていないと思うのだけど。

「香澄はどこか人を寄せつけないところがあるからさ」

 そのようにしていますから、とはさすがに言えず作り笑いを浮かべた。

「そんなつもりはないんですけどね」

 成暁さんは強く突き刺さるような目で見てくる。彼がこの表情をする時、私は少し怖くなる。
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