旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
「落ち着いているけど、無理をしているようにも見える。本来なら、ご両親が亡くなられて寂しい思いをしているはず。それなのに誰かに甘えようとしないのは、どうしてなのかな」

 すらすらと言葉を並べる彼を複雑な心境で見つめた。

 まだ知り合ったばかりなのに、ここまで見透かされるのは気味が悪い。

 それとも自分が気づいていないだけで、私はものすごく感情が外に出やすい人間なのだろうか。

 料理が運ばれてきたので、ひとまず話より食事を優先することにした。

「美味しい……」

「よかった。香澄はご飯を食べるのが好きだと聞いたから、どこに連れて行こうか悩んだんだよ」

 私の知らぬところで勝手に食いしん坊キャラにされている。

 誰から聞いたのだろう。私が毎月人気グルメをお取り寄せしていることは、叔父さんと叔母さん、あとは佳奈さんしか知らない。
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