旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
「……確かに食べることは好きです。気を使わせてしまってすみません」

「好きな子を少しでも喜ばせたいと考えるのが男だよ。気にしないで」

 こういうこと、さらっと言っちゃうんだよなぁ。

「顔赤くなってる」

 そりゃあ、そんなこと言われたら赤くもなる。

「見ないでください」

「断る」

 無遠慮にずっと注がれる視線が、私の意思とは関係なく身体を熱くさせる。

「本来の香澄がどういう人間なのか、すごく気になる」

 成暁さんの言い方だと、私がすごく秘密めいているように聞こえる。別に特別なものはひとつもない。

「見たままの、普通の人間ですよ」

 静かに言うと、成暁さんは手元のドリンクを一口飲んで小さく息をついた。

「香澄は俺のこと気にならない?」

 気になる。すっごく気になるけど、それを言葉にしたらどうなっちゃうの?
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