旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
黙ったままでいると、成暁さんは僅かに眉間に皺を寄せる。
「まさか、仮面夫婦にでもなるつもり?」
「そんなつもりはないです」
私の言動が矛盾しているのは百も承知だけど、長い時間無理に心を閉ざすことに徹していたので、急に変えることができない。
「……失礼な態度ばかりとってしまい、すみません」
嫌われちゃったかな。
叔父さん、喜んでくれていたのに。悲しませることになっちゃうな。
顔を隠すように深々と項垂れる。すると、「ふっ」と空気を吐くような、とても小さな声が聞えた。
え……今、笑ったよね?
彼がなにを思ったのかは分からない。
成暁さんはこれを最後に、この話題に触れることはなかった。