旦那様は溺愛至上主義～一途な御曹司に愛でられてます～

　しばらくして戻ってきた長谷川さんが成暁さんに缶コーヒーを渡し、それから私を目に留めてにこやかに近寄ってくる。

「これは吉岡ちゃんにあげるね」

　そう言って手渡されたのは、パックのオレンジジュースだった。

「そんな、悪いです」

　困って顔の前で手を振ると、長谷川さんは遠慮なしにぐいぐいとジュースを手のひらに押し付けてきた。

「俺がオレンジジュースなんて飲んでいたら気持ち悪いでしょ。貰ってもらわないと困っちゃうよ」

　気持ち悪いどころかキャラに合っていると思うんだけど。

　強引な態度に気圧されて、仕方なく好意を受け取ることにした。

「ありがとうございます。いただきますね」

「胃が痛いなら、こういうのばかり飲んでたらダメだよ」

　長谷川さんは会議テーブルの上に置いてあった、私の飲みかけのカフェオレを指差して言う。