旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
そして何故か、店についた私たちを待ち構えていた長谷川さん。
「お疲れ~!」
四人掛けテーブルに座った長谷川さんが、入り口に立つ私たちを見つけてぶんぶんっと大きく手を振った。
「ごめんね。ちらっと話したら俺も行くってきかなくて。香澄の口から帰ってくださいって言えば帰ると思うから、言ってやって?」
そんなこと言えるわけがない。
「だ、大丈夫です」
「香澄、顔が引きつってるけど」
佳奈さんは顔の前で両手を合わせ、改めて「ごめん」と謝罪する。
「本当に大丈夫ですよ」
そりゃあ欲を言えば佳奈さんとふたりきりのほうがよかったけど、長谷川さんはいい人だし、私のくだらない都合で追い返すのは失礼だ。
でも、この三人で食事をするなら、成暁さんもいればよかったになぁ。
ふとそんな思いが頭をかすめて、自身の思考に驚愕した。
私ったら、なにを考えて……!
「吉岡ちゃん顔が赤いけど、もしかして熱ある?」
「ないです!」
首を激しく横に振った私を、長谷川さんは不思議そうに見ていた。