学園バトル! ヤンキーねーさんに恋する俺
「こら!サトシ!!!どこ行くつもり!?」
げ。
思ったより、早く見つかってしまった。
「んだよ、ダチと遊ぶんだよ。」
「まだあんな野蛮な人達とつるんでるの?いい加減やめなさい!ってか今日はお姉ちゃんのピアノのコンクールでしょ!支度しなさい!」
だるいなぁ。
なんで姉貴のコンクールを見に行かないと行けないんだ!
俺は、コンクールが苦手だった。
姉貴はとてもピアノが上手いらしく、全国大会にも出たことがある。
その度に連れ回されるのは本当に嫌だ。
それに、上に行くほど、皆かしこまりすぎていて、息が詰まる。
ずっと座っているのは、性にあわず、どうしてもすぐに、席を立ってしまった。
正装なんて、持ってるはずもなく、制服に腕を通す。
と言っても、かなり改造した制服だが。
多分、校則違反の。
車に乗ってもなお、俺は不満が収まらなかった。
俺は、東中1番の不良だぞ!
それが、ピアノのコンクールを見に行くなんて。
どういうことだよ!
演奏が始まっても、まだ同じことを考えていた。
「サトシ、今から演奏する人、とても上手いって評判なのよ。この大会には出たことないみたいだけど、実力は、相当みたいね。」
知らねえよ。そンなこと。
もういい加減寝たい。
そう思ったその時だった。
「!」
身体全体に染み渡るピアノの音。
会場が、人が。
共鳴している。
ハッとして、演奏者の方を見た。
綺麗な人だなぁ。
そう思った。
頭の上の方で結い上げている髪が、とても艶やかで。
ドレスの真紅が、とても映えていて。
演奏にも、容姿にも圧倒された。
え、なんだろ、これ。
これが一目惚れ?
そう思うと、いてもたってもいられなくなった。
演奏が終わった途端、会場から抜けだし、ロビーへと、足を急ぐ。
そこには。
……いた。
黒髪の、綺麗な人が。
「あの、一目惚れしました!俺と付き合ってください!」
言っちゃった!勢いで!
まだどんな人かも知らないのに!
これじゃ俺、ただのナンパ野郎じゃんか!
彼女は、俺をマジマジと見てから、
「……アンタ、東中だろ?敵に交際申し込むなんて、何企んでんの?」
と言った。
え?
すると、プログラムを突き出す。
「坂本 彩」
どっかで見た名前なんだけど……
「あたしは、西中のグループリーダー。坂本彩なんだけど?」
ゆっていた髪をほどくと、見慣れた顔が。
「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁー!!!」
俺の通う東中の不良と、西中の不良は、お互い嫌悪する関係で。
俺は1年だけど、不良のリーダーで。
坂本彩は、2年で向こうのリーダーで。
いつも罵ってるあいつに?
告白してしまった、だと?
あぁ、終わった。
「これを聞いても、あたしと付き合う気?それとも、最初から分かってて、申し込んだの?馬鹿めが。」
なんか、いっきに清楚感が消えたんですけど!
どうしよう、嘘だろ。
なんてこった!