2人の時間
「おっはよぅ!諒っ」
朝っぱらからうるさいのは同じクラスの
山内奈実。
なんか、くっついてくんだよなぁ…。
「はいはい。」
ため息まじりで適当に返事した。
ガラッと扉を開ける音がした方を見ると、
友達の
片道裕士(かたみちひろし)だった。
来たっ!
椅子から立ち上がって
「ひーろーしーっ!!」
「諒っ!!おはよっ!」
にかって笑う裕士は人気者だ。
顔は普通なのだけど、性格が面白いから。
「なぁ。聞いて欲しい事あんだけど。」
そう俺が言うと、裕士は自分の鞄を探って
紙切れをとりだした。
「宿題見せてくれたら、聞いてやるよ。」
そう言って裕士は英語のプリントを俺の前にちらつかせた。
…ちゃっかりしてるよな、こいつは…。
黙ってプリントを手渡すと、
「さんきゅっ!」
「貸したんだから、真面目に聞いてくれよな。」
「もちろん。どうせ山崎の事だろ?」
裕士はプリントを写しながら俺を見てニヤリと笑った。