2人の時間
聞き覚えのある声に反応して、渋々振り向いた。
あー、今メチャクチャいいとこなんだけど?
誰だってのっ!!
あ…
「真…?」
立っていたのは、
弟の真(しん)だった。何やってんだよ、こいつ。
「兄貴じゃん!何して……あ……。」
「あ、琴?」
俺と琴音の今の体制は、顔こそ近くないものの壁と俺の間に琴音がいて、
俺の手は琴音の顔の隣においてある。
まずいな……。
琴音の顔を見ると、真っ赤になって、固まっていた。
真はビックリした表情のまま、
「ごめん、俺、邪魔だったね?」
うん。ものすごくな。
真を少し恨んだけど
「あー、大丈夫。」
腕をおろすと、
琴音はあわてて自転車にとびのって、
「諒っ!あたしっ……帰るねっ!!」
「えっ?おいっ、琴!」
すごいスピードで帰ってしまった。