2人の時間
惜しい……。
惜しすぎる……。
今回はいけるって思ったのになぁ。
そんなことを考えていると、真が、
「兄貴の彼女って、山崎先輩だったのな。」
琴音の去っていった方向を見つめてポツりと呟いた。
「兄貴。」
「なんだよ…。」
「母さんには、言わないから。」
「当たり前だろ。」
邪魔してくれたんだからな。
「今度はちゃんと場所選ぶべきだけどね。」
真にキッパリ言われてうなだれながら、
「はいはい。」
そう言った。
季節は秋。
風の冷たい季節。
「さみぃー…。真、風邪ひくなよな。」
「兄貴もね。」
そんなことを喋りながら、真と一緒に家に入った。
……明日は友達に色々聞いてもらおう…。