彼と彼女の花いちもんめ~意地悪王子の包囲網~
だから、あんたにかかずらってる暇も無い。

とは、言えない。

「前に、柿谷さんから、合コンのお誘い頂いたんですよ。
返事してなかったんで、多分その催促だと思いますー。
もし、行けそうなら、あたしの代わりに先輩推しておきますね。
あたし、合コン苦手なんで」
「ほんとに!?頼むわよ!?」
「勿論です!先輩、この前着てた花柄ワンピ似合ってましたし、アレ着て行ったらいいと思いますよー。
柿谷さんから、営業部の事色々聞いておきますねー」

適当に食いつきそうなネタを振って、笑顔で交わしておく。

あたしの頭の中はもうそれどころではない。

一生で一度の恋だと思っていたのに。
告白する前に、不幸にも失恋が決定したあたし。

物凄い勘違いでひとりで突っ走って、見事にすっころんだわけだ。

しかも、失恋した乙女らしくシクシク泣きながら帰るはずが、とんだアクシデントのおかげで、涙ではなく、顔から火が出る羽目になった。



せっかちで、ドン臭い、粗忽者。

小錦、関取、大関。

これが、過去のあたしを表す代名詞だった。

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