彼と彼女の花いちもんめ~意地悪王子の包囲網~
指定された待ち合わせ場所は、シックなレストランだった。

こんなお店でデート出来たら素敵だな、と思わず憧れてしまうくらい・・・

間接照明だけの店内はほんのりと薄暗い。

テラス席も設けてあり、天気の良い日はカフェタイムをテラスで楽しめる様になっているらしい。

仕事以外で男の人と二人で待ち合わせをした事なんて無い。

店の前で、あたしはそわそわと落ち着かない様子で二階に続く階段を見上げた。

待ち合わせまで10分ほどある。

先に店に入っておいてもいいかもしれないが、何と無く入りづらかった。

腕時計を何度か確かめるうちに、チラチラと向かいの通りから視線を感じるようになる。

明らかに店の前で待ちぼうけしているあたしに、声をかけようか迷っている若い男が二人。

適当に愛想笑いを浮かべて逃げる事は出来るが、なるべく関わり合いになりたくない。

こういう格好をしている女子は、ターゲットにされやすいのだ。

ナンパ目的で選んだ格好ではない。

ただの自己満足だ。

昔、可愛くなれなかった自分への、ご褒美、と言ったところかもしれない。

腕時計を確認する事三回。

こちらに近づいてくる足音が聞こえた。。

それも複数。
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